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『戦旗』第1683号(8月1日)

『戦旗』第1683号(8月1日)

8・6広島青空式典に全力決起しよう
トランプの原爆投下正当化発言徹底弾劾

 米帝―トランプは、イラン核関連施設へのバンカーバスター攻撃によりイランの「核開発能力を完全に破壊した」「あの攻撃が戦争を終結させた。広島、長崎の例を使いたくないが、本質的には同じだ」と述べ、原爆投下と攻撃の正当性を主張した。さらに七月七日イスラエルのネタニヤフとの首脳会談の冒頭にも広島と長崎への原爆投下を決断したトルーマン元米大統領に言及し「ある出来事を想起させた。あれが多くの戦闘を止め、今回も多くの戦闘を止めた」などと再び原爆投下を正当化する発言を繰り返した。絶対に許すことはできない。
 G7サミット(カナダ西部カナナスキス)は、トランプが途中で急遽帰国し、経済・外交など多分野にわたる包括的な首脳宣言やウクライナ情勢に関する共同声明の採択も見送られた。G7体制の弱体化が顕在化する中、ヨーロッパでは北大西洋条約機構(NATO)の軍事力増強へ向けた転換が加速している。
 台湾有事を口実として軍事力の南西シフトが強まる中、七月九日、千葉県木更津駐屯地から佐賀駐屯地へのオスプレイ一七機の本格移駐・配備が始まった。今後、新設された佐賀駐屯地には近接する目達原駐屯地からもヘリ五〇機の移駐が計画されている。九州・沖縄方面への米軍、自衛隊の増強に徹底して反対しよう。


軍拡と核武装に向かう世界

 六月オランダ・ハーグで開かれていたNATOの首脳会議は二五日、加盟国の国内総生産(GDP)に占める防衛費の割合を5%に引き上げる新目標を盛り込んだ首脳宣言を採択した。多くの加盟国にとって財政負担は重く、目標の達成は見通せないために新目標の達成期限は三五年までとした。5%の内訳は、兵器調達など「中核的な防衛費」3・5%と関連投資1・5%。ウクライナへの軍事支援も自国の防衛費に含めるとするなど増額要求を突きつけるトランプに応えるための「苦肉の策」とも言える。
 ウクライナへの支援については、昨年の首脳宣言から大幅にトーンダウンさせた。「ウクライナを支援するという永続的かつ主権的な尽力を再確認する」とし、NATO加盟については触れなかった。ウクライナ支援による財政負担が重くのしかかる中でNATOを基軸とした欧州の安全保障体制は、ロシアによるウクライナ軍事侵攻の長期化と米帝―トランプの自国第一主義が強まる中で歴史的な転換点を迎えている。それは欧州最大の大国であるドイツの転換に如実にあらわれている。
 四月西ドイツのNATO加盟七〇周年の記念式典において、シュタインマイヤー大統領は、「欧州最大のウクライナ支援国であり続け、欧州防衛の柱となるよう努める」と決意を表明した。また、NATOのルッテ事務総長は「かつてNATOはドイツを抑えようとしたこともあるが、そんな時代は終わった。われわれはドイツを必要としている」と強調した。冷戦時代の中盤から、ドイツのGDPに対する国防支出の割合は劇的に減少しており、二〇〇五年には史上最低の1・1%となっていた。NATOが基準とする防衛費2%の基準を満たしたのはつい二〇二四年で、実に三〇年以上ぶりのことだった。こうした中、ドイツ基本法では政府の債務をGDP比0・35%未満に抑える「債務ブレーキ」と呼ばれる厳格なルールが定められているが、今年三月ドイツ連邦議会がこの基本法の改正法案を賛成多数で可決したのだ。ドイツが国内総生産の3・5%を支出した場合、同国の国防費は一〇年間で六〇〇〇億ユーロ(約九七兆円)に達する可能性があることが示唆されている。五月に誕生したメルツ新政権は、こうした軍備増強路線を加速させることを明らかにしている。ドイツでは常備軍を二五年までに二〇万三〇〇〇人に増強することを掲げていたが、現状はおよそ一八万人強であり目標を達成するために一一年に正式に停止していた徴兵制の復活も検討している。国民の七割以上も賛成しているという。また、メルツは就任前にも「核兵器の共有は私たちが話し合う必要のある問題だ」と語り、すでにドイツには米の核爆弾が一五発配備されているが、フランスや英国と協議する意向を示し「私たちは核抑止力で共に強くならなければならない」とも強調している。
 ヨーロッパでは、トランプ政権による米国第一主義が強まる中で従来の欧州安保体制の不安定化は避けられず、そこからの脱却を目指して急速な転換を図ろうというのである。そして、こうした動きは、確実にアジアにおける対中国、対共和国敵視政策の中で、「核共有化」や「核武装化」論議を誘発していくことは明らかである。すでに日本でも二二年に安倍が派閥の会合で、ロシアのウクライナ侵攻を巡って「ウクライナが核共有を実施しているNATOに加盟していれば、ロシアの侵攻はなかったのではないか」と指摘したうえで、「日本も議論を進める必要がある」と述べていた。トランプはNATO同様に日本に対しても防衛予算の対GDP比5%を要求してきている。世界的規模で進む軍備増強と核武装論と対決しなければならない。


イスラエル、米によるイランの核施設への攻撃を許すな

 六月一三日のイスラエルによる対イラン攻撃をきっかけに、トランプ政権は、二二日朝(日本時間)、イラン国内の三カ所の核施設を攻撃した。この攻撃に対して石破政権は「(米国は)核兵器保有を阻止するという決意を示した」と理解を示す見解を発表した。一方で、イスラエルによるイラン攻撃が行われた際に石破は記者団に「イスラエルにより軍事的な手段が用いられたことは到底許容できない。極めて遺憾であり、日本国として強く非難する」と表明している。同盟国でもあり、関税交渉が難航する中でトランプ政権への配慮に満ちた「ダブルスタンダード(二重基準)外交」以外の何ものでもない。イランが米国を攻撃する予兆があるといった差し迫った脅威もない中で行われたトランプによる攻撃は、明確な国際法違反であるということだ。
 イスラエルは、二〇〇七年にシリア東部デリゾールで建設中の原子炉施設を完成間近として空爆、破壊しており、二〇一八年に公式に攻撃を認めている。一九八一年にもイラクで建設中の原子炉を攻撃、破壊している。中東において圧倒的軍事力を背景に核戦略上からも対立する国家の核保有を絶対に阻止したいということなのだ。現在、イスラエルは九〇発の核弾頭を有するとされているがイスラエルは肯定も否定もしない、いわゆる「曖昧戦略」によって、周辺国への核抑止力に使いつつ、国際原子力機関(IAEA)など国際機関の監視下に入ることを避けるという巧妙な戦略を取っている。イスラエルは核不拡散条約(NPT)に加盟していないために国際的な査察を受けることもなく中東における唯一の核保有国となっているのだ。それを米帝は一貫して黙認し続けているのだ。NPTでは米、ロ、仏、英、中国の五カ国のみを「核保有国」として認めており、インド、パキスタン、イスラエルは「非加盟国」のまま「核保有国」となっている。今回の攻撃に対してイランのアラグチ外相が「IAEAの監督下にある非核保有国(イラン)を、核保有国(米国)が攻撃した。この攻撃は、NPTにも加盟せずに核兵器を保有するイスラエルによる攻撃に続くものだった」と、NPT体制の欺瞞と不条理を強調しながら、イスラエルや米国を批判したのは、ある意味正当なのだ。
 七月四日、IAEAはイランで活動していた査察官のチーム全員がイランから退去したことを明らかにした。イラン議会は先月、国の主権や核施設と科学者の安全の確保、それにNPTで認められたウラン濃縮などの権利が保障されるまで、IAEAに対する協力を停止するよう政府に求め、IAEAのこれまでの活動がイスラエルやアメリカによる核施設への攻撃の口実に利用されたと非難していた。そして、ペゼシュキアン大統領は、IAEAへの協力を停止する法律の施行を二日に発表していたのだ。
 トランプは、米軍によるイランの核施設への攻撃は成功だったと改めてアピールするとともに、イランが懸念される水準まで核濃縮をした場合に、必ず攻撃を再開すると言い放っている。
 核協議の再開など見通せない状況になっている。また、イスラエルによりすでに五万五〇〇〇人以上のパレスチナ人民が虐殺され、空爆や銃撃で日々殺され続けている。
 イスラエルのよるパレスチナ人民虐殺、米軍・イスラエル軍によるイラン核関連施設への攻撃を許さず、ネタニヤフ、トランプ打倒に立ち上がる全世界の人民と連帯して闘い抜こう。


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