戦争・排外主義の極右高市政権打倒へ
軍拡、改憲策す自維連立政権許すな!
10・31関西生コン国家賠償請求訴訟
全面棄却判決を絶対に許さない!
昨年の衆院選、今年の東京都議選と参議院選挙に敗北した自公政権は、ついに公明党の連立離脱によって崩壊した。一〇月二一日に召集された臨時国会で、「安倍晋三の後継者」を自任する自民党の高市早苗総裁が第一〇四代内閣総理大臣に就任し、自民党と日本維新の会(閣外協力) による連立政権が発足した。日本憲政史上初の女性総理誕生が国内外で大きな注目を集めたが、核心点は混迷と危機を深める日本帝国主義による「戦争突撃内閣」=高市自維連立政権が発足したという点にある。両院で過半数を持たない少数与党政権の政権基盤は極めて脆弱といわざるを得ない。こうした中、自民党内では、「高市内閣の支持率が60~70%と高い間に衆議院を解散すべき」との声も上がり始めているという。
高市政権は、人民支配の統治機構を強化し、排外主義扇動の激化によって労働者人民を中国、アジアへの戦争へと動員しようというのである。
軍事大国化を宣言した連立政権合意書
一〇月二〇日に交わされた自民・維新「連立政権合意書」は、冒頭「自民党および日本維新の会は、わが国が内外ともにかつてなく厳しい状況にある中、国家観を共有し、立場を乗り越えて安定した政権を作り上げ、国難を突破し、『日本再起』を図ることが何よりも重要であるという判断に立ち、『日本の底力』を信じ、全面的に協力し合うことを決断した」と述べ、「『自立する国家』として、日米同盟を基軸に、極東の戦略的安定を支え、世界の安全保障に貢献する」と両党の国家観、国防(軍事)戦略の共有と一致を謳いあげている。
世界は、米帝・トランプによる「アメリカを再び偉大な国に(MAGA)」戦略のもと、かつてない帝国主義間の争闘戦と対中国封じ込めから戦争突撃へと突き動かされている。
日帝は軍事的には日米同盟を基軸としつつ、帝国主義としての生き残りをかけて本格的に戦争突撃できる帝国主義国への飛躍をかけて、対公明から対維新への連立転換に踏み込んできている。
「連立合意書」では、以下のように 一二項目の基本政策を述べている。一、経済財政関連施策。二、社会保障政策。三、皇室・憲法改正・家族制度など。四、外交・安全保障。五、インテリジェンス政策。六、エネルギー政策。七、食料安全保障・国土政策。八、経済安全保障政策。九、人口政策および外国人政策。一〇、教育政策。一一、統治機構改革。一二、政治改革。
いくつかの重要項目について、今月と来月の二回に分けてやや詳しくみていきたい。
軍事・経済安保戦略を重視する「サナエノミクス」
「連立合意書」の冒頭には、「経済財政関連施策」が掲げられている。
高市は、「安倍の後継者」を自任する積極財政論者である。政権の陣容をみてもそれは明らかだ。片山さつきを財務相へ起用し、積極財政派で作る議員連盟で会長を務めてきた城内実経済安保相を日本成長戦略担当大臣に横滑り任命している。内閣官房参与には経済産業省出身の今井尚哉をあて、政務担当秘書官の一人が、今井の後輩で同じ経済産業省出身の飯田祐二となっている。経済政策ブレーンには、第二次安倍政権で内閣官房参与を務めたリフレ派の本田悦朗を任命している。
日本経済は、ひとことで言うならば、アベノミクスの一〇年にわたる負の遺産に苦しめられているということだ。異次元の金融緩和と財政出動により「国の借金」は今年六月末の時点で一三三二兆円に達し、過去最大を更新した。この数字は名目GDP(国内総生産)の約二倍に相当し、「先進国」の中でも飛びぬけて高い水準となっている。そのために物価高騰に対して日銀の金融政策決定会合でも国債の利払い負担が増えることもあり、現在の0・5%からの「金利引き上げ」が行われていない。一方で個人金融資産残高は、前年比二二兆円増(1・0%増)の二二三九兆円となり過去最高を更新している。円安・株高誘導に富裕層の金融資産はますます増大し、富める者は富み、格差の拡大が著しく進んだのである。
そして、高市政権による「積極財政」方針により株式市場は「高市トレード」として、株価の上昇が続いている。一〇月二七日には日経平均株価が五万円を突破した。しかしこれは、「高市銘柄」といわれる防衛産業やAI、半導体企業の株価上昇によるものだ。一方で、ロシアのウクライナ侵攻をも契機として二二年を境にデフレからインフレ局面へと突入し、物価上昇率が二二年2・5%、二三年3・27%、昨年2・4%、今年も推計で3・29%とG7の中で最も高い伸び率となっている。
東京都では、昨年の一〇月から今年の六月にかけて食パン、鶏卵など食品を中心とした「頻繁に購入」する生活必需品目の価格は平均で4・2%上昇し、食料や家賃、光熱費、保健医療サービスなどの基礎的支出項目は5・0%上昇している。こうした物価高騰は、特に年金生活者や低所得層の生活を直撃している。
このように「株高不況」ともいわれるものは、一部輸出大手企業と富裕層には恩恵があったとしても大多数の人民には、ほとんど関係ないものである。
また、企業の内部留保は二四年度末の時点で六三六兆円と過去最高を更新。一方で、労働分配率は同年度に53・9%となり、一九七三年度以来五一年ぶりの低水準となっている。
こうした中で「アベノミクス2・0」あるいは「サナエノミクス」といわれる経済財政政策とは一体どういうものなのか。幾つかの特徴があるが、最大の特徴は、アベノミクスの金融政策偏重から脱却し、積極的な財政政策を重視するという方針を示していることである。アベノミクスの「三本の矢」においては金融政策に偏り、財政出動は中途半端であり、「第三の矢」であった成長戦略も、規制緩和と既得権益への投資を推進する新自由主義的成長戦略であった。そこから「責任ある積極財政」の方針のもとに官民連携による成長投資と需要拡大を柱とした経済政策に転換しようというのである。つまり、新自由主義的経済政策は古くさく、そこから転換するというのである。そのためには、単年度のプライマリーバランスという考え方を取り下げることや、純債務残高のGDP比を下げるという新たな経済指標を持ち出し、「積極的財政」政策に打って出ようというのである。
では、官民連携による成長投資と高市が重視する経済安全保障のための投資先は、一体どこなのか。先の日米首脳会談と米主催の「夕食会」などにおいて明らかにされた八〇兆円の主な投資先とされるのは、エネルギー(原発)とAI、半導体産業などである。また、経済安全保障という観点から、AI・半導体、航空・宇宙、資源・エネルギー安全保障・GX、創薬・先端医療、港湾ロジスティクス、防衛産業、情報産業など一七分野の重点的投資対象があげられている。国家危機管理の観点から帝国主義間の争闘戦と軍事大国への道を見据えた戦略的投資=「責任ある財政政策」を行おうというのである。
こうした中で、小手先の経済対策、物価高対策の目玉として打ち出されたのがガソリンの暫定税率の廃止である。「一、経済財政関連施策」では、①「ガソリン税の旧暫定税率廃止法案を二五年臨時国会中に成立させる」として、ようやく年内の廃止が合意された。試算によれば暫定税率の廃止で車を保有する世帯で年間一万から二万円の節税になるという。また、「電気・ガス料金補助をはじめとする物価対策として、二五年臨時国会において補正予算を成立させる」というが、電気・ガス料金への補助はすでにこの間行われており、急激な物価高による生活苦が続く中、少しばかりの減税と給付(補助)を「物価高対策」と称して、人民の不満と怒りをなだめようというのである。新政権発足の第一段として、人民にアピールしやすいガソリン減税を利用したということだ。
一方で軽油もふくむ税率廃止で不足する一・五兆円といわれる財源問題は先送りされており、新たな増税が待っているのだ。
②「インフレ対応型の経済政策に移行するために必要な総合的対策として、給付付き税額控除の導入につき、早急に制度設計を進め、その実現を図る」としているが、その制度設計を含めて数年かかるといわれている。「飲食料品については、二年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う」と検討項目にしかなっておらず、そもそも消費税減税については、住民税非課税世帯への給付と同様に行わないことをすでに決めているのだ。
戦争準備を加速させる安保三文書前倒し改定
次に高市政権が掲げる重点項目が、四、外交・安全保障である。
①「安保三文書を前倒しで改定する」。
三文書は、およそ一〇年間を想定して二二年末に策定され、二七年度に対GDP比2%とする目標を掲げていた。高市は、所信表明演説では「対GDP比2%水準について、補正予算と合わせて、今年度中に前倒して措置を講じる」と述べ、トランプとの日米首脳会談においても防衛力の抜本的強化を行う考えを説明している。
トランプ政権は、同盟国に「相応の負担」を求めるとして、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に、防衛費の国内総生産比5%への引き上げを要求した。六月の首脳会議ではNATOが関連投資を含めて5%とする目標を決定させている。同様に日本に対してもすでに防衛費をGDP比3・5%に引き上げるよう非公式に打診するなど、防衛費増額への圧力を強めていた。今回の首脳会談においては、具体的数字をめぐる要求はなかったとされているが、仮に防衛費をGDP比3%にまで引き上げられるような要求が出れば、一〇兆円規模と考えられる追加財源が必要となる。
②「わが国の抑止力の大幅な強化を行うため、スタンド・オフ防衛能力の整備を加速化する観点から、反撃能力を持つ長射程ミサイルなどの整備および陸上展開先の着実な進展を行うと同時に、長射程のミサイルを搭載し長距離・長期間の移動や潜航を可能とする次世代の動力を活用したVLS搭載潜水艦の保有にかかる政策を推進する」。
スタンド・オフ防衛能力の整備を加速化させるため全国各地に弾薬庫建設が進められており、今年度中には熊本の健軍駐屯地に長射程ミサイルが配備されようとしている。また、「次世代の動力を活用したVLS搭載潜水艦」とは、明らかに垂直にミサイルを発射できる原子力潜水艦のことである。現在、世界で原潜を持っているのは、アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、インドの六カ国であり、今後オーストラリアがアメリカの供与を受けて原潜を保有しようとしている。保有すれば七カ国目となる。アメリカ、インド、オーストラリア、日本は「クアッド(QUAD)」を構成する四カ国であり、「開かれたアジア太平洋」戦略のもと、中国に対抗する枠組みである。そして、日本を除く三カ国が原潜を持つならば、日本も原潜を保有しようという狙いである。そもそも原子力の研究、開発、利用を平和目的に限ることを定めた原子力基本法にも抵触するものである。
③「二六年通常国会において『防衛装備移転三原則の運用指針』の五類型を撤廃し、防衛産業にかかる国営工廠(こうしょう)および国有施設民間操業に関する施策を推進する」。
五類型とは、輸出できる装備品を、「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」の五つの目的に限ったものであるが、これの撤廃は装備品輸出の全面的な解禁につながり、国内の防衛産業の販路拡大をも狙ったものだ。この間、公明党との間で協議を重ねてきていたが、見直しに慎重な姿勢をとる公明党との協議では結論が出ていなかったものだ。
また、驚くべきことに「国営工廠」に関する施策を推進すると明記している。工廠とは、戦前の旧陸海軍が保有していた国営の軍需工場のことであり、軍隊が直接管理・運営する軍需工場を指す。今年六月、自民党の安全保障調査会が政府へ提出した政策提言に「工廠の導入」という文言が盛り込まれ、同様の意見は、防衛省が設置する有識者会議でも出ていた。こうした論議が連立政権の合意事項として、安保関連三文書改定の前倒しを機に一気にでてきたのである。
今年八月、オーストラリア政府は同国海軍の次期汎用フリゲート艦に、日本が提案していた新型FFM(改もがみ型)を選定したと発表した。オーストラリアは水上艦戦力を現在の一一隻から二六隻に拡大する計画を進めている。このうち、半分近い一一隻を新型汎用フリゲートにする計画だ。これが最終合意した場合、日本にとって戦後初となる大型防衛装備の輸出となる。日本では一九七六年の三木内閣時代に政府統一見解として「武器輸出三原則」を掲げて事実上、武器の輸出や共同開発を大きく制限してきた。しかし、二〇一四年に「武器輸出三原則」に代わって「防衛装備移転三原則」が閣議決定され、国際共同開発への道を開いた。そして、今回の新型FFMの輸出も、「完成した艦艇の輸出」ではなく「オーストラリアとの共同開発・生産」ということで輸出を行い、そしてさらに五類型の撤廃によって「防衛装備移転三原則」の完全撤廃を行おうというのである。
条文案の提出をめざす改憲攻撃
三、皇室・憲法改正・家族制度などに関して
①改憲については「憲法九条改正に関する両党の条文起草協議会を設置する。設置時期は、二五年臨時国会中とする」。
②緊急事態条項( 国会機能維持および緊急政令) について「憲法改正を実現すべく、二五年臨時国会中に両党の条文起草協議会を設置し、二六年度中に条文案の国会提出を目指す」。
九条改憲、緊急事態条項ともに条文起草のための協議会の設置で合意しており、改憲にむけた動きを一挙に突き動かそうというのである。高市は、所信表明においても「総理として在任している間に国会による発議を実現したい」とも表明している。
③「戸籍制度および同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、旧姓の通称使用の法制化法案を二六年通常国会に提出し、成立を目指す」。
選択的夫婦別姓をめぐる議論は、一九七〇年代から始まり、一九九六年法制審議会での導入の答申からもすでに三〇年近くが経過している。世論調査においても制度導入に賛成が50%を超える中で、維新が主張する旧姓の通称使用で決着させようとしている。
(次号に続く)。
高市自民・維新連立政権は、まぎれもなく安倍政権を継承した「戦争突撃」政権だ。
アジア人民と連帯して、極右・排外主義・戦争突撃内閣=高市政権を打倒しよう!
パレスチナ人民へのジェノサイド阻止!
ハマスは二〇二三年一〇月の蜂起から二年の一〇月九日に、トランプが発表した「包括的計画二〇項目」(九月二九日)の第一段階の受け入れに合意した。
これによりハマス側は、一三日に全人質のうち生存者二〇名を釈放した。イスラエル軍も、合意にもとづき一〇日、ガザ地区内の合意地点まで撤退したと述べたが、イスラエル軍は依然としてガザ地区の53%を占拠したままだ。
マスコミなどで「和平合意案」と称される、今回のトランプ提案が発表される三日前、ネタニヤフは国連での演説において、イギリス、フランス、カナダ、オーストラリアなどがパレスチナ国家を承認したことに触れ、これら承認の動きを「恥の証」と呼び、「ユダヤ人を殺せば報われるというメッセージを送っている」と激しく批判している。
この二年におよぶ戦闘の中で、テルアビブ大学付属国家安全保障研究所(INSS)によると、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されているイスラエル人の人質は、死亡が確認された人を含めて四八人となっている(交渉時点)。イスラエル側の死者数は一九七四人、負傷者数は三万二六人となっている。一方、パレスチナ情報センターによると、ガザ地区での死者数は六万七一七三人、負傷者数は一六万九七八〇人に達している。
戦闘は一時中止されたが、ガザ地区に住むパレスチナ人民を取り巻く状況は、まったく変わっていない。食料危機は深刻化したまま餓死者が後を絶たず、戦争による危機は続いている。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が主導した調査では、五歳未満の子ども五万四〇〇〇人以上が急性栄養失調に陥っていると推計されている。九月初めに、国連人権理事会の調査委員会は、イスラエルがガザのパレスチナ人に対してジェノサイド(集団殺害)を行っていると認定したが、イスラエルは事実ではないと強く否定し続けている。
イスラエル外務省は、一〇月六日、飢餓に苦しむパレチスナ人民支援のための食料・物資を運ぶために組織されたグローバル・スムード船団(GSF)の約五〇〇人を拿捕・拘束し、一員として乗り込んだ気候変動活動家グレタさんをはじめ弁護士、ジャーナリストなどを国外退去させた。この支援船団を支持しイスラエルによる拿捕・拘束に抗議する闘いが欧州や南米をはじめ全世界で繰り広げられた。
スペインにおいては一〇月三日、バルセロナをはじめ全土八〇都市で二五万人が参加し、「パレスチナ支持・連帯」「イスラエルの完全ボイコット、国交の断絶」を訴え、「GSFへの支持・連帯」と「拘束・国外退去」に抗議して集会とデモが闘い抜かれた。
イタリアにおいても一〇月五日、ゼネストと学生運動から始まった闘いが、ローマを埋めつくす一〇〇万人以上が結集した闘いへとつながっている。横断幕には「国際的プロレタリアートは資本の戦争に対して団結して闘うぞ」「イスラエルとの共犯、占領とジェノサイドへの共犯関係に反対、パレスチナの抵抗運動に連帯する」「ジェノサイドに共謀する政府を打倒せよ」などのスローガンが掲げられた。
ジェノサイドに加担する自国帝国主義と資本主義を打倒し、パレスチナ人民の抵抗闘争に連帯し闘うことこそが国際的プロレタリアートの責務だとして闘い抜かれたのだ。全世界において闘い抜かれたパレスチナ国際連帯の闘いは、帝国主義打倒にむけた闘いとも固く結びつき発展し、イスラエルを完全に追い詰めているのである。
今回の合意は、九月二九日にトランプとネタニヤフが合意した、「ガサ紛争終結にむけた包括的計画二〇項目」案による。主な内容は以下である。
2 ガザは、ガザの人々のために再開発される。
3 双方が合意した場合は、イスラエル軍は、人質解放準備のため合意ライン(イエローライン)まで撤退する。
4 七二時間以内に、生存者・死亡者を問わず人質が返還される。
6 平和的共存と武器廃棄を誓約したハマス構成員には、恩赦を与える。
9 ガザは、パレスチナ委員会の暫定的な移行統治下で統治される。この委員会は、国際暫定機関「平和評議会」による監督・監視を受ける。同評議会はドナルド・トランプ大統領が議長を務め、トニー・ブレア元首相を含む他のメンバーおよび国家元首が参加する。
10 ガザを再建し活性化させるトランプ経済開発計画を策定する。
11 ハマスおよびその他派閥は、直接的・間接的いかなる形態においてもガザの統治に関与しない。
15 米国はアラブ・国際パートナーと連携し、ガザに即時展開する暫定的な国際安定化部隊(ISF)を創設する。
16 イスラエルはガザを占領・併合しない。
19 ガザの再開発が進み(中略)パレスチナ人民の願望として認識されるパレスチナ人の自己決定権と国家建設への信頼できる道筋が、ついに整う可能性がある(訳:ホワイトハウス公表資料よりジェトロ仮訳から)。
この合意に先立ち、国連総会に集まったサウジアラビア、トルコ、カタールを含む中東・アラブ諸国の首脳とトランプが会談し、ハマスを抑え込み、最後的に解体し、米・イスラエル主導で進めることを合意した。
内容を見れば明らかなように、第一にはハマスの武装解除がすべての前提とされているが、パレスチナ側はこれを認めてはいない。現段階では、あくまでも第一段階の合意に過ぎない。
第二にイスラエル軍の完全撤退が明記されていない。パレスチナ側がこの和平案を拒否した場合には、イスラエルは戦闘を継続し、トランプもそれを「全面的に支持する」と表明している。事実、一〇月二八日にネタニヤフは、ハマスによる人質の遺体返還が遅れていることを「停戦合意違反」だとして、パレスチナ自治区ガザ各地を攻撃したのだ。ガザ保健省は二九日、子ども四六人を含む一〇四人が死亡したと発表している。一〇日の停戦発効以降、イスラエル軍の攻撃ですでに計二四〇人が虐殺されている。ネタニヤフとトランプは「和平案」を掲げつつ、最初から口実を見つけ出し、ハマス解体、ガザ地区からのパレスチナ人民追い出しを画策していることは明白だ。
第三に、米帝とイスラエル、西側帝国主義と一部アラブ諸国の主導によってパレスチナを全面支配し、中東における新たな秩序構築を狙っているのだ。
今年の二月、トランプはパレスチナ自治区ガザの戦後計画を巡り、パレスチナ住民を近隣諸国へ恒久的に移住させ、ガザを米国が長期的に「所有」する新提案を発表している。トランプは「ガザをアメリカが引き継ぎ」「アメリカの長期的な占領のもとでガザの復興・開発を進め、数千人の雇用を生み出す」「ガザ住民の帰還は認めず、代わりに再定住を進める」「つまりガザ住民を第三国に移す」という意味だと述べていた。
ガザからパレスチナ人民を追い出して、リゾート開発で「中東のリビエラ」にするというのだ。この計画に対して、国連をはじめ世界各国から、国際法違反であることはもちろんのこと、パレスチナ人民をガザの地から追い出し、パレスチナの消滅を狙ったものであるとして、激しい批判が巻き起こったのは当然である。
しかし、今回の「合意案」を見るならば、トランプとイスラエルは、決してこの目論見を完全に捨て去ったわけではないといわなければならない。
第四に「和平案」には、ヨルダン川西岸への入植についてまったく触れられていない。パレスチナ国家承認が各国から表明される中で、八月二〇日、イスラエル政府は、イスラエル占領下のパレスチナ・ヨルダン川西岸地区を東エルサレムから事実上分断して、パレスチナと呼ばれる土地を二分することになる新たな入植計画を最終承認した。エルサレムとマアレ・アドゥミム入植地の間に新たな入植者用住宅を建設する「E1計画」と呼ばれるこの構想は、激しい国際的反発を受け、この二〇年間凍結されていたものだ。計画では「E1入植地」に約三四〇〇戸の入植者用住宅を建設する。イスラエル閣僚で極右のベザレル・スモトリッチ財務相は、同計画の推進を発表した際に、パレスチナ国家構想は「消えつつある」と述べている。
第五には付け足し的に「自己決定権」と「国家建設への信頼できる道筋」なる文言だけが書かれている。
この間、パレスチナ人民の死を賭した闘いと全世界の労働者人民の「ジェノサイド阻止」「パレスチナ解放・連帯」の闘いの前進の中で、「二国家解決」をめぐり、国連の「二国家解決」にむけた国際会議においてイギリス、フランス、カナダ(以上G7加盟国)やオーストラリア、ポルトガルなど計一一ケ国が新たに「国家承認」を表明した。パレスチナを国家として承認する国は世界で約一六〇カ国になった。しかし、日本は「国家承認するか否か」という問題ではなく、「いつ国家承認するかの問題である」として国家承認を見送り、引き続き「総合的に検討をする」という態度に終始した。
「二国家解決」とは、一九九三年の「オスロ合意」にもとづくものであるが、「オスロ合意」は八七年以降の第一次インティファーダへの懐柔とパレスチナ武装解放勢力の一定の「困難」の中で、パレスチナ人民の武装解放闘争を制動・粉砕することを目的としたものである。
ハマス幹部は、戦争終結のためのすべての提案を検討する用意があるが、ただ、いかなる合意も、パレスチナの利益を守り、イスラエルをガザから完全撤退させ、戦争を終わらせるものでなければならないと強調している。
こうしたパレスチナ人民の自己決定権による自己解放闘争の勝利の先にこそ、パレスチナ国家建設は展望されるであろうし、そうした闘いにこそ、プロレタリア国際主義の旗を掲げて連帯して闘いぬかなければならない。
シオニズム粉砕! ジェノサイド阻止! パレスチナの人民に連帯して闘おう!
