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自維極右政権による改憲策動を許すな

軍事拡大反対! 左派共闘で全人民的反戦運動を闘おう

自維極右政権による改憲策動を許すな

『戦旗』第1687号(2025年12月1日)3面

 二〇二五年一〇月二一日、高市政権が発足した。自民と日本維新の会連立による極右政権の誕生である。高市は所信表明演説で「憲法改正について、私が在任している間に国会による発議を実現していただく」と明言している。
 連立政権の一角を担う日本維新の会はその結党当初から改憲を主張してきた党派である。また、先の参議院選において「大躍進」を遂げた参政党は独特の主張を持つ改憲派である。自民党―高市は与党としては少数だが、こと憲法問題・軍拡路線・治安強化では国会内多数派になるのだ。
 いまこそ国会外の闘い、左派共闘による全人民的反戦運動の高揚が求められる時である。われわれは改憲策動を許さず、自民党―高市の別動隊である維新の会と参政党の改憲案を批判し、もって改憲策動そのものを粉砕していこう。

自維極右政権を許すな! 改憲突撃政権を打倒しよう

 保守政治家であり安倍の後継者を自任する高市が自民党総裁になり、これまで連立政権を組んでいた公明党が連立を解消した。少数与党である自民党は連立政権が国会運営において必須の課題である。そして野党として連立に合意したのは日本維新の会であった。自民党の軍拡路線に対してわずかでもブレーキ役を果たしていた政党から、アクセルを踏む党へと連立が移行した。
 維新の会は公約として「一丁目一番地」として掲げていた「政治改革」、すなわち具体的には企業献金の一切の廃止を棚上げしたうえでの合意である。合意文書には「企業団体献金」の取り扱いについては結論として、「高市総裁の任期中に結論を得る」としている。すなわち、維新の会は自らの金看板を捨てて自民党にすりよったということである。
 そして両党は改憲に向けた思惑では完全に一致している。合意文書では「日本維新の会の提言『二十一世紀の国防構想と憲法改正』を踏まえ、憲法九条改正に関する両党の条文起草協議会を設置する」「緊急事態条項について憲法改正を実現すべく……令和八年度中に条文案の国会提出を目指す」「可及的速やかに、衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を常設する」「憲法改正の発議のために整備が必要な制度……について制度設計を行う」と明記されている。
 自維連立政権とは改憲に向けて突き進んでいく政権であることは明らかだ。改憲突撃政権といっても過言ではない。臨時国会に続く通常国会の論議で停滞していた改憲論議が具体的に動きだそうとする。改憲突撃政権を許すな!

日本維新の会の改憲案

 維新の会は二〇一六年と二〇二二年に改憲案を発表している。
 二〇一六年段階の改憲案は主要に道州制導入を目指したものであり、憲法裁判所の設置を道州制導入の絡みで主張している。維新の会改憲案「憲法改正原案」はその第九二条で「自治体は、基礎自治体及びこれを包括する広域自治体としての道州とする」と現在の地方自治体よりもより自律性の高い道州の設置を主張している。この道州制とは「国は国家としての存立に関わる事務その他の国が本来果たすべき役割を担うものとし、それ以外の事務は自治体が担うことを基本とする」こととされている。そのため、地方と国の主張が対立した場合を想定して憲法裁判所なるものを設置しようということである。
 すなわち、当時の肝入り政策の一つである道州制を憲法レベルにおいて表現したのが二〇一六年段階における維新の会の改憲案である。
 しかし、二〇二二年に明らかにされた維新の会改憲案はほぼ自民党案に引きずられている。そこには九条の二項として「自衛のための実力組織として自衛隊を保持する」と明記された。さらに連立政権成立以降の一〇月三〇日には、自衛隊を「国防軍」とする用語変更を行っている。自民党は石破が総裁になってから、改憲案に「国防軍」と主張するようになっていた。維新の会はこの用語を無批判的に使用するのだ。すなわち用語としても自民党の改憲案をそのまま受け入れているのが二〇二二年以降の維新の会改憲案なのである。
 かかる経過からすれば、日本維新の会なる政党が自民党と連立を組むのは必然ともいえる。維新の会は少なくとも二〇二二年以降の改憲分野においては、自民党と大差ない党になっていたのだ。
 二〇二二年の維新の会「憲法改正原案」には緊急事態条項の新設が主張されているが、これも自民党案そのものである。内容もそうだが文言もほぼ自民党案と同じである。自民党と維新の会などが主張する緊急事態宣言の特徴は、憲法の基本的人権に国家権力として制限をかけることにあるが、維新の会は「緊急事態の宣言が発せられたときは、その事態に応じ……国民の自由及び権利を制限し、または義務を課すことができる。この場合においても基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない」と主張する。
 一方自民党は、「宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより……国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても……基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない(自由民主党―日本国憲法改正草案)」と表現する。違いと言えば、維新の会に比して自民党案の方が守らなければいけない基本的人権として具体的な条文を掲げているくらいなものである。両者ともに国家権力が緊急事態の名のもとに基本的人権に制限を加える発想においてはまったく同じなのだ。
 連立政権成立以降、維新の会は改憲に向けた党の調査会を発足させている。この調査会―「実現本部」の会合において維新の会は、自民党と改憲に向けた条文起草を本格化させることを確認した。本部長を務める馬場伸幸前代表は記者団に対して、「改正のトップバッターは九条と緊急事態条項だ」と語っている。
 維新の会が政権に加わることで改憲が早まることは必至だ。改憲反対を掲げて自維連立政権を打倒しよう!

参政党の改憲案

 一方、参議院選挙において大躍進を遂げた参政党だが、あらゆる意味で自民党の改憲案とは違う。しかし、その中身はまともに論議することもはばかられるようなとんでもない内容になっている。
 参政党の改憲案は国家主権を天皇に置くことであり、その意味では明治憲法―すなわち「大日本帝国憲法」の復活に近い。しかし、その内容は明治憲法よりはるかに稚拙なものだ。近代国家の憲法として成立するのか疑わしい中身である。
 参政党は二〇二五年五月付けで「参政党が創る新日本憲法(構想案)」なる小冊子を発表している。ここで参政党は改憲という用語は使わず「創憲」という言葉を使用することを明らかにしている。その意味は、「憲法には日本人の価値観を反映し、日本が自立するための理念が必要」という問題意識の下、「現行憲法の一部を改正する『改憲』ではなく、国民自身が主体となって憲法を一から作り直す『創憲』」を主張している。すなわち、現行憲法とは全く違う憲法案を提起しているのが参政党の改憲案である。 
 この「憲法」案は全体で三三条からなり、天皇を国家権力の源泉と位置づけ、近代憲法における「国民主権」の概念を真っ向から否定しているのが最大の特徴である。
 参政党「憲法案」の前文は、「日本は、稲穂が実る豊かな国土に八百万の神と祖先を祀り」、「天皇は、いにしえより国をしらすこと悠久であり」、「我が国は、幾多の困難を乗り越え世界に先駆けて人種の平等を訴えた国家」、「各国の歴史や文化を尊重して共存共栄を実現し」、「日本国民は、千代に八千代に繁栄を達成し、世界に真の調和をもたらすことを宣言し」、という言葉が連なっている。この前文は復古主義的調子で天皇主権を表現した程度の文章であり、その思想的背景は「八紘一宇」であることは間違いない。
 第一条に天皇制の規定を掲げている。「日本は、天皇のしらす(注:この用語は参政党の解説によれば『国民の実情を広く知って日本を治める意味の古語』)」であり、「君民一体の国家」「天皇は国民を統合する」「天皇は……神聖な存在として侵してはならない」という具合に国家の権力主体として天皇制を位置づけている。天皇の権限は国家元首として詔勅の発行、総理大臣、国務大臣、国会議長、および最高裁判所長官の任命、憲法や法律・条約の公布、さらには国会の召集や衆議院の解散権までを行使することができる。
 まさに天皇を元首とする国家建設である。あらためて確認するが、現行憲法では天皇は「象徴」であり権力の源泉ではない。権力の源泉は一応「国民」ということになっている。
 また参政党は第五条で「国民の要件は父または母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切にする心を有することを基準として、法律で定める」と明記する。こうなると、もはや法として云々するレベルではない。そもそも「日本人」なる規定はどこからくるのか。それは「国籍」なのか? それともナチスの「優生思想」に基づく「アーリア人」規定と同じ規定なのか? ここで唯一明確なのは、「日本を大切にする心を有する」のか否かが「日本人」なるものの規定の根拠ということである。しかしながら、その「大切にする心」を誰がどのように判断するのか? また、たとえ両親が日本人で日本語を話す人でも「大切にする心がない」と判断されれば日本人ではないということになるのか? 第五条は法律というよりも差別排外主義をそのまま表現した煽動ビラでしかない。
 参政党の「創憲」には、その他にも条文が様々あるが、これらを一々論駁する必要もない。全体を貫く主張は天皇の元首化であり、あいまいな「日本人」という規定を前提にして公共機関からの外国人排除と外国資本の排除が主な主張である。すなわち、全体を貫いている思想は差別排外主義である。
 参政党の改憲論―「創憲」の中身は政治宣伝の以上の中身はない。しかしながら、このようなデタラメな「憲法」を堂々と掲げた政党が、国政選挙で一定の支持者を得ているということをこそ問題にしなければならない。
 明らかに差別排外主義が日本社会に一定程度根付いていることの現れである。そして参政党が自民・維新の改憲論議にすぐさま飛びつき、より排外主義的中身で論議を加速させる存在であることは間違いない。差別排外主義との闘いは理念的闘いではなく、実践的な政治攻防=改憲反対闘争として浮上してきた。反改憲の闘いは差別排外主義との闘いとしても位置付けられなければならない。

来年通常国会を巡る闘いを強化しよう!

 自民党―高市と維新の会そして参政党が一致する政策は改憲だけではない。参政党は一〇月二七日に「国旗損壊罪」にむけた刑法改悪案を参議院に単独で提出した。そしてこの「国旗損壊罪」は自民党と維新の会も連立合意文書で確認しており、来年の通常国会での成立を目指している。
 そもそもこの「国旗損壊罪」は二〇一二年に高市が衆議院に提出し廃案になった代物である。二〇二一年にはその高市が所属する「保守団結の会」が自民党政調会長に法案成立を打診し党内で検討課題になっていた。
 かつて高市は自身のホームページでこのように主張している。「日本の『刑法』……第九二条で『外国の国旗損壊等』は刑罰の対象とされている一方、『日本の国旗損壊等』については何の規定もありません」「他方、諸外国では、日本と正反対で、『自国の国旗損壊等』に対する刑罰の方が、『他国の国旗損壊等』に対する刑罰よりも重くなっています」「いずれの国旗も、平等に、尊重して扱われるべきです」「日本国に対して侮辱を加える目的で、国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者は、二年以下の懲役又は二〇万円以下の罰金に処すること」と提示している。
 この高市の論理には数点の問題がある。第一に、高市が根拠としている刑法九二条だが、これはそもそもが「日本と外国の間の円滑な国交」を目的にした刑法であり、国旗一般を云々した法ではない。「日の丸」が含まれていないのは当然である。高市の主張では、あたかも刑法九二条の不備を補うかのような論述になっているが、それは九二条の主旨から全く外れる議論である。
 第二に、高市は諸外国を引き合いに出して「国旗損壊罪」の必要性を強調しているが、米国においては自国国旗損壊に対する罪は法的に適用されてない。「星条旗」の冒とくを禁じる連邦法の「国旗保護法」はあるが、一九九〇年米連邦最高裁判所は「国旗保護法」を合衆国憲法修正第一条の「表現の自由の保障」に違反しているとして違憲判決を出している。以降、「国旗保護法」は無効状態になっているのが事実だ。国旗損壊を刑事罰とすることは「世界の常識」ではない。
 第三に、高市の主張は対象を「国旗」すなわち「日の丸」一般に拡大しているため、明らかに「国旗損壊罪」は思想・信条に対する弾圧法として機能する。「国旗損壊罪」は自らが作成した「日の丸」を損壊する行為も刑事罰の対象にするということである。これは思想・信条の自由に対する国家権力の介入そのものだ。
 このような弾圧法を来年通常国会で自民党・高市、日本維新の会、参政党は成立させようとしているのだ。そして上記三党をはじめ、国民民主なども含めて「スパイ防止法」の制定が画策されている。当然、改憲論議が加速していくことは火を見るより明らかだ。
 反改憲の闘いは国会内に根拠を置くだけでは闘いきれない。今必要なのは左派共闘を軸としながら、広範な人民による街頭行動―大衆的政治闘争勢力の公然たる登場なのだ。
 われわれは、反戦を闘う国内外人民と連帯し、街頭政治行動の強化拡大によって自維政権と闘う。改憲突撃政権の自維政権を打倒しよう! 差別排外主義との闘いとして、参政党の改憲案・諸反動立法を阻止しよう! 議会主義と分岐した反戦運動を闘おう!


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