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2・11 第60回思想と信教の自由を守る山口県民集会

 2026年2月11日、山口県教育会館において、「第60回思想と信教の自由を守る山口県民集会」が開催された。本集会は、天皇制、国家神道という特定思想、特定宗教を国民に押しつける「建国記念の日」に反対し、「建国記念の日」(1966年制定)が適用された1967年2月11日から開催されている。今回は「ネットは便利?!でも私たちの民主主義は大丈夫?」を主題に取り組まれた。集会には、80名が参加した。
 集会では、松原幸恵さん(山口大学教育学部教授)が、「ネットと民主主義」という演題で講演された。
 ネット空間には、①対等な人間関係、②地理的な距離を超越した様々な人との交流、③狭い社会の常識に縛られないグローバルスタンダードな世界であること、④リアルな世界で行き場のない人の受け皿にもなり得る電子コミュニティーを創出すること、などが期待されたわけだが、上手くいっていない。①~④の利点を活かすには、的確に使いこなす能力が必要になる。
 ネットにおいては「匿名性」があることから情報発信が容易になる。完璧に保たれているわけではないが、そう思うことで情報発信がしやすくなる。
 情報発信が容易となることで、世論形成を活性化することが期待される一方で、世論誘導に利用される恐れがある。受け取る側としては、「多くの人が言っているから正しい情報ではないか」と誘導される。発信する側では、発信段階で他者によるチェックがかからないことによる誤情報発信のリスクがある。多くの人が自分の意見を述べることには慎重であっても他人の投稿については簡単に拡散してしまう。このため、発信者が誤りに気付いても訂正前に拡散してしまう。
 ネットに潜む危険性として、社会を「分断」する危険性が指摘された。ビジネス・マーケティングプロファイリングを活かしたマイクロターゲティングにより、利用者の「嗜好や行動パターン」に応じた効果的な宣伝を行うことで、利用者の意識を本人に気付かれないうちに変えるという手法がとられている。また、利用者の好みの情報を提示することにより、各人が自分の好みの情報にのみ接触し、好まない・関心の無い情報から切り離されるフィルターバブル現象が起こる。そうした閉じたメディア空間の中で、同質の意見に多く触れることでエコーチェンバーが生じ、考え方を先鋭化、過激化させ、集団分極化を引き起こし易くなる。
 こうしたネット空間における現象に加え、自分の信じたい「事実」しか見ようとしない「ポスト真実」的な姿勢が優勢になると、ネット社会は民主主義に深刻な悪影響を及ぼす要因となりうる。
 ナチスが民主主義の制度を通じて権力を獲得したように、多数決の結果が望ましくない結果を招くことがある。多数決の結果を絶対視するのではなく、絶えず批判と関与を通じて修正していくことが民主主義の強みであることが語られた。
 会場からは、昨年7月の参議院選挙における排外主義の拡散や、2月8日に投開票が行われた衆議院解散総選挙において自民党が衆議院の3分の2を占めたという結果にネットが影響しているのか、といった質問や、ネットとポピュリズム、排外主義に親和性があるのではないかという懸念や、ネットを通じて監視社会化が進んでいるのではといった危機感が語られた。
質疑応答の中で興味深いエピソードが紹介された。ある課題をクラスで取り組むことについて「する」「しない」の2択を問うたとき、20人くらいの学生の中で2人が「する」を選択した。結果、「する」こととなった。なぜかというと、「しない」の意見を言う学生がいなかったためである。憲法改定に関する国民投票では同じような事態が想定される。国民投票法では最低投票率が設定されておらず、「賛成」が投票総数の2分の1を超えた場合、国民の承認が得られたものとされるからである。このエピソードより、憲法改悪に反対することに加えて、国民投票で「反対」に投票することを広める運動が必要であると受け取った。
 集会後には山口市の中心商店街を通るデモ行進を行い、「建国記念の日」反対、安保法制の廃止、上関原発建設・中間貯蔵施設計画反対を訴えた。


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